仙台のお正月グルメを調べていて、「仙台雑煮ってどんな料理なんだろう?」と気になっている方へ。仙台や宮城のお雑煮は、全国のなかでもかなり個性的で、「焼きハゼ」や「おひきな」といった耳慣れない食材が主役になる、ちょっと特別な一椀です。仙台 雑煮というキーワードで検索している方の中には、「具が多すぎて難しそう…」「家でも作れるの?」と感じている方もいるかもしれません。
この記事では、仙台雑煮の発祥や歴史、特徴的な具材の意味から、基本レシピ・作り方のコツ、さらに仙台で実際に仙台雑煮を味わう楽しみ方まで、まとめてご紹介します。仙台雑煮や宮城のお雑煮に興味がある方はもちろん、次のお正月を少し特別な一杯で迎えたい方にもおすすめです。ぜひ最後まで読んでみてください。
仙台雑煮とは?仙台ならではのお雑煮をざっくり解説
仙台雑煮の基本プロフィール
仙台雑煮は、宮城県のなかでも仙台市周辺で親しまれているお正月料理で、松島湾でとれたハゼを焼いて干した「焼きハゼ」でだしを取り、具だくさんの汁に餅を入れていただく郷土料理です。
お正月三が日には、この仙台雑煮を朝から食べるご家庭も多く、かつては「正月の朝といえばこれ」というくらい、仙台の暮らしに根付いた一品でした。
他地域のお雑煮との違い
全国のお雑煮と比べてみると、仙台雑煮の個性がよりはっきり見えてきます。
- 関東の雑煮
澄んだすまし汁に角餅、鶏肉・小松菜など比較的シンプルな具材が定番。 - 関西の雑煮
丸餅を白味噌仕立ての汁でいただく地域が多く、まろやかな味わいが特徴。 - 仙台雑煮
焼きハゼでとっただしに、おひきな(ひき菜。大根・にんじん・ごぼうなどを細切りにして凍らせたもの)、凍み豆腐、ずいき、仙台せり、いくらなどをたっぷり入れ、椀から焼きハゼがはみ出るほど豪華な盛り付けにするのが象徴的です。
味わいとしては、魚のだしがしっかり効いたすまし汁に、野菜と乾物の旨み、いくらのコクが重なり、「海の幸・山の幸を一椀に閉じ込めたお正月スープ」といったイメージです。
初心者向けに押さえたい仙台雑煮のポイント
仙台雑煮を一言でまとめると、次の3点がポイントです。
- 焼きハゼのだし
松島湾のハゼを焼いて干したものから取る、香ばしくも上品なだし。 - おひきな(ひき菜)という具材
大根・にんじん・ごぼうなどを細く切ってゆで、凍らせたもの。冷凍することで味がしみ込みやすくなり、仙台雑煮には欠かせない存在です。 - 具だくさんで豪華な見た目
凍み豆腐、ずいき、仙台せり、いくら、かまぼこ…と、とにかく具が多いのが特徴で、「新年を祝う特別なごちそう」として親しまれてきました。
仙台雑煮の発祥と歴史 ─ 焼きハゼとおひきなが生まれた背景
松島湾のハゼ漁と「焼きハゼ文化」
仙台雑煮に焼きハゼが使われる背景には、松島湾の豊かなハゼ漁があります。かつて松島湾ではハゼが豊漁で、焼きハゼを作るための小屋も多く、干したハゼは保存性の高い食材として重宝されていました。
かつて松島湾ではハゼが大量にとれ、焼きハゼが広く作られていたことから、江戸時代末期にはお正月の雑煮にも使われるようになったとされています。魚を丸ごと焼いて干すことで旨みが凝縮され、だしを取ると香ばしさとコクが加わり、一年の始まりにふさわしい特別感のある味わいになります。
近年はハゼの不漁もあり、焼きハゼは年々高価になっているとされ、仙台の市場などでは数匹で数千円ということもあるようです。

おひきな・凍み豆腐など、保存食の知恵
おひきなは、大根・にんじん・ごぼうなどを細切りにしてゆで、一晩凍らせたもの。昔は外気にさらして凍らせていましたが、現在は冷凍庫で作る家庭も少なくありません。
凍らせることで水分が抜け、だしをよく吸うようになるため、雑煮に入れると魚のだしや調味料の味をしっかり含んでくれます。凍み豆腐(凍り豆腐/高野豆腐など)やずいき(里芋の茎を干したもの)も、同じく保存性の高い食材で、「冬を越すための知恵」が詰まったラインナップと言えます。

仙台のお正月文化とのつながり
仙台では、毎年1月の「仙台初売り」や、初詣・松焚祭(どんと祭)など、お正月に関連したイベントが多く、そうした行事の合間に家庭で仙台雑煮を囲む光景が今も続いています。
豪華な具材と手間のかかる下ごしらえは、「一年に一度だからこそ」というハレの日ならではのもの。焼きハゼを年末に買い求めたり、おひきなを仕込んだりする作業そのものが、仙台のお正月準備の一部になっていると言えるでしょう。

仙台雑煮の具材と味わい ─ 定番から家庭ごとのアレンジまで
仙台雑煮に欠かせない定番の具材
仙台雑煮では、次のような具材がよく使われます。
- 焼きハゼ(だしにも、椀の飾りにも使う主役)
- おひきな(大根・にんじん・ごぼうなどを凍らせたもの)
- 凍み豆腐(凍り豆腐/高野豆腐など)
- ずいき(里芋の茎を干したもの)
- 餅(多くは角餅を焼いて使用)
- 仙台せり(香りと彩り担当)
- いくら(はらこ)
- かまぼこ・なると・伊達巻などの練り物
これらをたっぷり椀に盛りつけ、上から焼きハゼをどんと乗せると、「これぞ仙台雑煮」という姿になります。
具材に込められた意味や役割
- 焼きハゼ
縁起物としての魚であり、新年にふさわしいごちそう。香ばしい風味がだし全体の主役になります。 - おひきな
「幸せを引き込む」という意味を重ねて、お雑煮に入れるとも言われています。 - いくら(はらこ)
金色に輝く見た目から、豊かさや子孫繁栄を連想させる存在。 - 仙台せり
冬の宮城を代表する野菜で、独特の香りが全体の味を引き締めます。
家庭ごとのバリエーション
仙台雑煮にも、家庭や地域によってさまざまなバリエーションがあります。
- 焼きハゼではなく、鶏肉や昆布・かつおでだしを取る家庭
- いくらをたっぷり乗せる家もあれば、控えめにしている家もある
- 仙台せりの代わりに小松菜や大根葉を使う場合
- 里芋やこんにゃくを加えて、さらにボリュームを出すレシピ など
「うちはこうなんだよね」と家族で話しながら食べ比べるのも、仙台のお正月らしい楽しみ方のひとつです。

おうちで作れる!基本の仙台雑煮レシピ
ここからは、ご家庭でチャレンジしやすいように、焼きハゼを使った「基本の仙台雑煮レシピ」をご紹介します。あくまで一例なので、ご家庭の好みや手に入る食材に合わせてアレンジしてみてください。
材料(4人分の目安)
- 焼きハゼ(小さめ)…4〜5尾
- 水…1.2L程度
- 餅(角餅)…4〜8個(人数や食べる量に合わせて)
- 大根…5cm分
- にんじん…1/2本
- ごぼう…1/3本
- 凍み豆腐(凍り豆腐/高野豆腐など)…2枚
- ずいき(あれば)…適量
- 仙台せり…1束
- かまぼこ・なると…適量
- いくら…適量
- 醤油…大さじ2〜3
- みりん…大さじ1
- 塩…少々
※おひきな用の根菜は、あらかじめ千切りにしてゆで、冷凍しておくと本格的な仕上がりになります。
おひきなの準備
- 大根・にんじん・ごぼうを細い千切りにします。
- たっぷりの湯でさっと下ゆでし、ザルにあげて水気を切ります。
- バットや小分け容器に広げ、冷凍庫で一晩しっかり凍らせます。
時間がない場合は、ゆでずにそのまま使っても作れますが、「一度凍らせる」ひと手間をかけると、だしのしみ込み方や食感がぐっと良くなります。
焼きハゼだし(代用だし)の取り方
- 鍋に水と焼きハゼを入れ、30分ほど浸けておきます。
- 中火にかけ、沸騰する直前で弱火に落とし、10〜15分ほど静かに煮出します。
- アクを取りながら煮て、香りが立ってきたら焼きハゼを取り出します。
焼きハゼが手に入りにくい場合は、煮干し+昆布や、焼いたアジ・サバなどの干物で代用しても、それらしい深みのあるだしになります。
具材を煮て、仕上げるまで
- だしが取れた鍋に、おひきな(凍ったままでOK)、戻した凍み豆腐、ずいきを入れます。
- 5〜10分ほど煮て、具材にだしがしみ込んできたら、醤油・みりん・塩で味を整えます。
- 別のフライパンやオーブントースターで餅をこんがり焼いておきます。
- 仙台せりは根元を切り落とし、3〜4cmに切ります。かまぼこやなるとは薄切りにします。
- 椀に焼いた餅を入れ、具をたっぷり盛り付けてから熱い汁を注ぎ、上に焼きハゼ・仙台せり・いくらを飾れば完成です。
失敗しないコツと気軽なアレンジ
- コツ1:ぐらぐら沸騰させない
焼きハゼだしは、沸かしすぎると香りが飛びやすくなるので、弱火でじんわり煮るのがポイントです。 - コツ2:味はやや濃いめでもOK
具材が多いので、少ししっかりめに味をつけると、餅やおひきなとのバランスが良くなります。 - コツ3:お子さん向けには骨に注意
焼きハゼは骨が多めなので、小さいお子さんには身をほぐしてから添えると安心です。
アレンジとして、焼きハゼがない場合は鶏肉+昆布だしで作る「仙台風雑煮」として気軽に楽しむのもおすすめです。本来の仙台雑煮とは少し違いますが、「具だくさんで、おひきなが入り、だしをしっかり効かせる」ことを意識すれば、雰囲気は十分に味わえます。
仙台で仙台雑煮を味わうなら?おすすめの店や楽しみ方
ここからは、「せっかくなら本場で仙台雑煮を食べてみたい!」という方に向けて、どんな場所で出会えるのかをイメージしやすいようにご紹介します。
老舗割烹・料亭で味わう、贅沢な一椀
仙台市中心部や城下町エリアには、昔ながらの和食店や割烹があり、お正月に仙台雑煮を提供するお店も少なくありません。
- カウンター越しに丁寧に作られた仙台雑煮が供される
- 焼きハゼやいくら、仙台せりが美しく盛り付けられた「お正月の主役」のような一椀
- 会席料理の一品としてお雑煮が登場することも
予算感としては、正月の特別コースの一部として5,000円〜1万円台になることが多く、「ちょっと贅沢なお正月の外食」といった位置づけになります。
ホテルの朝食・正月限定メニュー
仙台駅周辺のホテルなどでは、お正月期間限定で朝食バイキングや和朝食の中に仙台雑煮が並ぶケースもあります。
- 旅行者でも利用しやすい
- 「せり鍋」や「はらこ飯」といった宮城グルメと一緒に楽しめるプランも
- 朝から仙台雑煮でスタートして、そのまま初売りや観光へ出かける…という流れもおすすめです
市場・食堂・カフェで気軽に楽しむ
仙台駅近くの市場や、地元の人が通う食堂のなかには、お正月シーズンに雑煮を提供するお店もあります。
- 価格は1杯数百円〜1,000円程度と、比較的カジュアル
- おせちや刺身などと一緒に注文し、地元の人と同じような雰囲気の中で楽しめる
その年ごとに提供状況が変わることも多いので、実際に足を運ぶ際は、事前に最新情報をチェックしておくと安心です。
モデルコース例:初詣+初売り+仙台雑煮
- 朝:ホテルや市場の食堂で仙台雑煮をいただく
- 午前〜昼:仙台初売りで福袋や限定品をチェック
- 夕方:ライトアップされた街並みを散歩しつつ、カフェや居酒屋で一息
こんな一日の中に仙台雑煮を組み込むと、「仙台のお正月」をまるごと味わうような体験になります。
食材をそろえたい人向け:焼きハゼ・おひきな・仙台せりの入手ガイド
仙台市内で探すときの目安
仙台市内で仙台雑煮の食材をそろえる場合、次のような場所をチェックしてみると見つかりやすくなります。
- 市場や朝市:年末になると、焼きハゼが藁に吊るされた状態で並ぶことがあります。
- 地元スーパー:鮮魚コーナーや乾物売り場の一角に、焼きハゼや凍み豆腐、おひきな用のミックス野菜が置かれる場合もあります。
- 土産物コーナー:真空パックの焼きハゼや、乾物セットとして販売されていることもあります。
仙台せりは冬場が旬なので、12月〜2月頃に青果売り場をのぞいてみると見つかる可能性が高いです。

※画像はイメージです。
県外からは通販・お取り寄せも
県外在住の方や、仙台まで行くのが難しい方には、通販・お取り寄せという手段もあります。
- 焼きハゼや凍み豆腐は、乾物として扱うショップで取り扱いがあることがあります。
- 「仙台雑煮 セット」「焼きハゼ 宮城」「ひき菜 仙台」などで検索すると、目的に近い商品が見つかる場合もあります。
乾物は送料とのバランスを考えつつ、賞味期限や保存方法も事前にチェックしておきましょう。

焼きハゼが手に入らないときの代用アイデア
どうしても焼きハゼが手に入らないときは、以下のような代用案も試せます。
- 煮干し+昆布
- 焼きアジや焼きサバなどの干物
- 昆布+鶏肉でだしを取り、魚の要素はかまぼこやちくわで補う
本場の味とは少し変わりますが、「具だくさんで、おひきなが入り、だしをしっかり効かせる」ことを意識すれば、仙台風雑煮の雰囲気を十分に楽しめます。
仙台雑煮Q&A ─ よくある疑問に地元目線で回答
Q1. 仙台雑煮はいつの時期ならお店で食べられますか?
A. 多くのお店では、お正月期間限定(おおむね1月1日〜3日頃)での提供となることが多いです。ホテルの朝食などでは、三が日を少し過ぎても提供される場合がありますが、通年で仙台雑煮を出しているお店は多くありません。行きたいお店が決まっている場合は、事前に公式情報を確認しておくと安心です。
Q2. 子どもでも食べやすい味にするには?
A. 焼きハゼのだしは風味がしっかりしているので、子どもには少し強く感じることもあります。昆布だしや鶏だしを少しブレンドしてまろやかにしたり、醤油を控えめにして塩で整えたりすると、優しい味わいになります。骨に気をつけて、焼きハゼの身はほぐしてから盛り付けてあげると安心です。
Q3. 作り置きやリメイクはできますか?
A. 仙台雑煮は具が多く、時間が経つほど味がなじむので、翌日に温め直してもおいしくいただけます。ただし、餅は時間が経つと溶けたりかたくなったりしやすいので、餅だけは食べる直前に焼いて加えるのがおすすめです。作り置きした分は冷蔵庫で保存し、食べるときにはしっかり再加熱してからいただきましょう。余った具と汁にうどんやごはんを入れて「雑煮うどん」や「雑煮雑炊」にするリメイクも楽しめます。
Q4. 焼きハゼやおひきながなくても「仙台風」になりますか?
A. 焼きハゼとおひきなは、確かに仙台雑煮を象徴する食材ですが、必ずしも完全に揃えないといけないわけではありません。本来の仙台雑煮とは別物になりますが、工夫次第で「仙台風」の雰囲気は十分楽しめます。
- 魚だしを煮干しや干物で代用する
- 根菜の千切りをそのまま使いつつ、具だくさんに仕上げる
といった工夫でも、十分に「仙台らしさ」を感じられる一椀になります。無理なく手に入る範囲の食材で、まずは一度試してみてください。
まとめ ─ 仙台雑煮で味わう「仙台のお正月文化」
仙台雑煮は、松島湾の焼きハゼから取る香り高いだしに、おひきなや凍み豆腐、仙台せり、いくらなどをたっぷりと盛り込んだ、宮城を代表するお正月料理です。
その背景には、豊かな海と山の恵み、冬を乗り切るための保存食の知恵、そして「新しい一年を豪華な一椀で迎えたい」という人々の思いが重なっています。仙台雑煮は、一杯を味わうだけで、暮らしや歴史まで想像したくなるような奥深さを持った郷土料理と言えるでしょう。
次のお正月は、ぜひご自宅で仙台雑煮レシピに挑戦してみたり、仙台への旅行や帰省のタイミングで本場の仙台雑煮を味わってみたりしてはいかがでしょうか。
VOICE SENDAI では、
- 仙台の初売りを楽しむコツ
- 冬に食べたい仙台グルメ特集
- 仙台せり鍋やずんだ餅など、仙台の定番郷土料理まとめ
といった関連記事もあわせてご紹介していく予定です。仙台のお正月文化に興味を持った方は、ぜひそちらもチェックして、仙台の冬をまるごと楽しんでみてください。

コメント