1. はじめに
Radio Dept.『Clinging to a Scheme』は、ドリームポップ〜シューゲイズの“霞んだ輪郭”を、ポップ寄りの実験感で少しだけひねってくる一枚だと感じました。本記事はAmazonアソシエイトのリンクを含み、初めての一周を邪魔しそうな細部は控えめに書きます。甘さだけで終わらず、じわっと冷える余韻が残るタイプなので、気分が静かに落ち着く人もいそうです。
この記事でわかること
- このアルバムの音の手触り(質感・テンポ感・余韻の方向)
- 「刺さる/刺さりにくい」の分かれ目
- 聴きどころ3つ(良い点と、合わない可能性も)
- “今聴くなら”ハマりやすいタイミング
2. 導入
梅雨っぽい湿り気が残る夕方、アーケードの天井に雨音が反射して、足音まで少し丸く聞こえる日がありました。こういう日に、明るすぎる音は合わなくて、でも暗すぎると気持ちが引っ張られる。ここで一呼吸おいて、イヤホンを耳にねじ込むみたいにして再生したのが『Clinging to a Scheme』です。
正直、シューゲイズって“好き”が強く出るぶん、ハマりきると戻ってこられない感じがあって、私はそこがちょっと怖いんですよね。期待と警戒を半分ずつ持ったまま、つい勢いで再生して、案の定、しばらく歩く速度が変わりました。
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3. 作品の概要
全体の印象は、霞の向こうでメロディがちゃんと息をしているアルバムです。ギターの残響や空気感はしっかりあるのに、ただ“ぼやけて気持ちいい”だけに寄りかからない。テンポは落ち着きめに感じつつ、細部の動きで退屈さを避けてくるタイプで、聴き終わりは静かな熱が残りました。ふわっとした音が好きだけど、芯も欲しい人に向きそうです。
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4. 聴きどころ3つ
1) 霧っぽいのに、メロディが迷子にならない
ドリームポップやシューゲイズの“気持ちよさ”って、音の層が厚いほど増す一方で、メロディが背景に沈んでしまう危うさもありますよね。この一枚は、その沈み方をギリギリで止めている感じがしました。輪郭は柔らかいのに、フレーズがどこかで必ず手を振ってくれる。
私はここを、かなり信頼しました。作業BGMとして流しても成立するけど、集中しすぎて音が“壁紙化”しない瞬間がある。逆に言うと、完全にとろけたい人には、少しだけ意志が強く聞こえるかもしれません。ふわふわと、引き戻しのバランスが上手い、という受け取りです。
2) 音の隙間が、感情の置き場所になる
このアルバム、鳴っているものだけじゃなく、鳴っていない部分が気になります。全部を埋め尽くさず、空白に“自分の気分”が入り込む余地がある。そこが、私には散歩と相性が良かったです。歩いていると、街の雑音や看板の光が勝手に混ざって、聴き方が毎回変わるんですよね。
ただ、これも好みが分かれそうで、濃いドラマや派手な展開を求める人だと「もう一押し欲しい」と感じる可能性はあります。私はむしろ、押されないからこそ、こちらが勝手に近づいてしまう感じがありました。距離感が上手い音、という印象です。
3) 甘さの裏に、ちょっとだけ冷たい手触りがある
“夢っぽい音”って、ときどき甘さが前に出すぎて、気分が単色になってしまうことがあります。でも『Clinging to a Scheme』は、甘いだけで終わらず、どこかひんやりした影を残す。私はこの影が好きでした。強い比喩を一回だけ使うなら、夜のアニメのエンディングで、映像が消えたあとに部屋の静けさだけ残る、あの感じに近いです。
とはいえ、その“冷たさ”が合わない人もいると思います。癒やし目的で聴くと、優しさより先に少しの距離を感じるかもしれない。私はそこに、簡単に肯定しない誠実さを見ました。気分が乱れている日にこそ、変に持ち上げられずに済む、という効き方です。
5. 刺さる人・刺さりにくい人
刺さる人
- ドリームポップ/シューゲイズの空気感が好きで、メロディも欲しい人
- 散歩や移動中に“景色と混ざる音”を探している人
- 派手な盛り上がりより、じわじわ効く余韻が好みの人
- 甘さだけじゃなく、少し冷たい手触りも受け止めたい人
刺さりにくい人
- 一発でテンションが上がる派手さや即効性を求める人
- 濃い起伏(強いサビ感/劇的な展開)がないと物足りない人
- “ふわっと癒やされたいだけ”の気分のとき
6. “今聴くなら”おすすめのタイミング
- 帰り道、頭の熱を静かに冷ましたいとき
- 部屋の明かりを落として、スマホを触る手を止めたい夜
- 読書の序盤(世界に入るまでの助走)
- 単純作業を淡々と進めたいとき
- 仙台の冬、駅の暖気と外気の差でぼーっとするタイミング
- 考えすぎている日、気分の輪郭だけ整えたいとき
アルバム/EPとしての聴き方メモ
入口におすすめの曲(1〜3曲)
- 「Domestic Scene」:最初の一歩として、全体の質感をつかみやすい気がします。
- 「Heaven’s on Fire」:メロディの“掴み”が分かりやすい方に寄っている印象。
- 「You Stopped Making Sense」:聴き終えたあとに戻ってくると、余韻の形が見えやすいかもしれません。
曲順・統一感の印象
曲ごとの表情はちゃんと違うのに、アルバムとしての空気は一枚にまとまっている印象でした。気分を切り替えるというより、同じ天候の中で場所だけ移動していく感じ。通しで聴くと“何が残るアルバムか”がわかりやすいので、できれば一度は最初から最後まで、歩きながらでもいいので通してみてほしいです。
7. まとめ
『Clinging to a Scheme』は、ふわっとした美しさを持ちながら、そこに頼り切らずに“少しだけ冷たい芯”を残すアルバムだと私は受け取りました。気分が穏やかな日は景色に溶けるし、ざわつく日は距離を取りながら整えてくれる。合う人には、生活の中に長く置ける一枚になりそうです。
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聴き終えたあと、静かな呼吸が戻ってくるような気持ちが残る一枚です。
よくある質問(FAQ)
Q. シューゲイズに慣れていなくても聴けますか?
派手なノイズで押し切るタイプというより、メロディの居場所が見えやすい印象なので、入口としても試しやすいと思います。ただ、音の“霞み”自体が苦手だと合わない可能性はあります。
Q. 作業用BGMとして向きますか?
向きます。けれど、ずっと背景に溶けるだけではなく、ふと意識が戻る瞬間があるので、集中の邪魔にならない範囲で“気分を整える”用途に合いそうです。
Q. 夜向き?朝向き?
私は夜寄りに感じました。街の音が落ち着く時間帯や、帰宅後のクールダウンに合いやすい。ただ、朝でも雨っぽい日や、テンションを上げたくない朝にはしっくりくると思います。
Q. まずは通しで聴くべきですか?
一度は通しで聴くのがおすすめです。雰囲気のまとまりが見えやすいので。時間がなければ、序盤→中盤→終盤手前の順で“ポイントをつまむ”聴き方でも入口になります。
Q. 甘い雰囲気の音が好きならハマりますか?
甘さはありますが、そこに少し冷たい影も混ざるので、完全な癒やしだけを求めると違うかもしれません。逆に、その影があるほうが長く聴ける人には刺さりやすいと思います。
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