仙台で40年間日本舞踊を教え続けている千久沙日本舞踊学園代表の西﨑千久沙さん。「気軽に始められる」「年中無休」という従来の日本舞踊教室の常識を覆すアプローチで、多くの人に日本の伝統文化を届けています。西﨑さんが目指す日本舞踊の新しい形について話を伺いました。
1歳から踊りに親しみ、仙台で40年の指導歴
—まず、自己紹介をお願いします。
私は1歳から踊りを始めました。母が教えていたものですから、1歳から踊りを始めました。仙台では40年前から教えております。
そのうちの20年は普通の街の踊り教室をやっておりまして、それで20年経ってから、こういう学園を作ろうと思いまして、普通の踊り教室を辞めて、学園を始めました。
10代の後半の頃から母のところのお稽古場を手伝っておりました。母は仙台の稽古場が週に2回で、塩釜、松島、船岡、カルチャーセンターなどに出張稽古をしておりました。そのお手伝いをしておりました。
—1歳からとは驚きです。まさに「立ったときには踊っている」という感じですね。
そうです。気づいたときからもう踊りが身についていたという感じでした。
「気軽に始められる場所」を目指して学園を設立
—普通の踊り教室ではなく、学園を立ち上げた理由は?
やはり気軽に始められるような場所を作りたかったんです。それにはやっぱり器が必要になって、毎日できる状態にして、そして気軽に始められる。気軽にやめることもできるという気軽さが必要だと思いました。
先生のお宅に伺ったり、公民館のようなところで場所をお借りしてとなると、どうしても曜日や時間が限られてしまいますので、自分の中では気軽にと思っても、習う側にとっては気軽じゃないんです。なので、いつでも行けて、間口が広く、敷居が低い場所を目指しました。
サークル的な横のつながりを大切に
—教室の雰囲気づくりで心がけていることは?
日本舞踊を始める方というのは、やはり日本というものを愛しているので、気軽って言っても、雑な場所ではなく、ちょっとは格式高い雰囲気を持った場所にしたいと思っておりますが、お琴の曲が流れていたり、三味線の曲が流れているよりは、ジャズが流れている和食屋さんのような、若い方が入りやすいようにクラシックやボサノバ、ディズニーの曲などを流し、入り口に入った時に、ちょっと安心させるような雰囲気づくりを心がけております。
日本舞踊は古典芸能で、すべて縦社会の封建制度になっているんですけれど、学園の場合はもっと楽にみんな友達という横のつながりを大切にして、仲間意識を大切にしております。
3歳から80歳まで、驚きの年齢層の幅
—生徒さんの年齢層について教えてください。
今は、3歳から80歳までおります。
- 子どもたちは、お行儀や集中力、想像力を高める目的
- 若い方々は所作を美しくなりたいことが目的の方や本格的に学びたい方々
- 年配の方は、人生の楽しみの一つとして通っていらっしゃいます。
男性の方もいらっしゃいます。
男性の方は、世界を相手にしているようなお仕事をなさっている方が日本をアピールするのに役立っているようです。
年中無休、朝10時から夜8時まで対応
—稽古時間について教えてください。
だいたいもう、始まり時間が朝10時からで、終わり時間は夜の8時までというところで、お休みもございません。そこを一番強く言いたいです。基本的には年中無休で、お正月だけお休みです。お盆もやっております。
やはり休みの時に来たい方もいらっしゃいますし、そういう柔軟性が大切だと思っております。
—「明日行っていいですか?」という感じで通えるんですね。
そうです。もし空いていたら、という感じです。体験したい方って、突発的に、ちょっとやってみたいという気持ちになって、では来週のとか言われちゃうと、ちょっと萎えちゃいますよね。
ついた炎は消える前に、というのが大切なんだと思うんです。
レベル制で独自の目標設定とやりがいを
—レベル制について教えてください。
学園では、初級、中級、上級、最上級という4つのレベル性を取り入れております。
流派の教室では、平弟子、名取、師範と3つの段階になっており、名取や師範の資格を取るのには、多額なお金が必要になってしまいます。
なので学園では、レベル制でやりがいにつなげてもらいたいと思っております。
もちろん、名取や師範の資格を取ることも可能です。
一人ひとりに合わせた指導方法
—指導で工夫されていることは?
皆さんいろんな性格の方がいらっしゃって、理数系の方、文系の方、また内向的な方、外向的な方、様々なので、一人一人探りながら指導しております。
お稽古場を見ていない方がおっしゃっていたことがあるんですけど、稽古中の私の声も違うらしいんです。声のトーンや、言葉使いも、全然違うらしいんです。
伝わりやすいようにと心がけているだけなんですけどね。
日本舞踊の奥深い魅力
—改めて日本舞踊の魅力について教えてください。
非日常的な所でしょうかね。まず着物を着ることから非日常的ですし、体の使い方も普段は動かさないところを動かして、どういう体の使い方をしたらより美しく見えるのかというところから始まります。
又、色々な人物を表現し、なりきるというところだと思います。
初級では、だいたい日本舞踊の形、使う筋肉、そういうところを学んでいただきまして、お扇子の使い方や、所作、立ち振る舞いみたいなものを学んでいただきます。
中級や上級では、想像力が必要となり主人公の気持ちや人柄、感情の表し方などを伝えるという技法を学んでいきます。
その他、邦楽の鼓や三味線、お琴にも、触れることができて、親しむことができます。それを総合的に考え感じることが奥の深さですね。
歩き方一つとっても役によって違うということも奥の深さの一つです。
地域や社会との関わり
—ボランティア活動なども行われているそうですね。
地域というよりは、聴覚障害者の方に、手話ができるお弟子がいたものですから、その方と一緒に指導にあたってみたり、あとは、引きこもりで日常の生活が困難な方たちに、まずは、ここに来る、外に出るということから。そして一曲習うまで。
決して強制ではありません。すべて扇子などもお貸しして、浴衣の着付けを教えたりもしています。
自分に一つでも自信を持てると、そういう方たちは、次のステップに行きやすいんじゃないかなと思いまして。そうすると、日本舞踊って、他の人たちはあまりやっていないことなので、結構自信にもつながるんじゃないかな、と思いました。
希望者のみの発表会で無理のない参加を
学園内で年に2回披露する会というのがありますが、すべて希望者だけなんです。習いたいけれど踊りたくない方もいるんです。人前ではちょっと恥ずかしくて嫌で、自分の中だけで楽しみたい方たちのためにそうしております。
もちろん参加しない人からお金をいただくこともいたしません。
また、その会を全部DVDに収めているので、参加したくはないけれども、皆さんの頑張りを見たいという方も購入できるようになっております。
読者の皆様へのメッセージ
—最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いします。
やはり、ずっとお話申し上げておりますように、幅広く、敷居を低く、横つながりの楽しい場所なので、緊張せずに来ていただきたいという気持ちがあります。
何よりも私の中では、先細っている伝統芸能を、少しでも長く伝承していく、それには経験がないと、知っている、聞いたことがあるだけでは、どうしようもありませんので、あ、やったことがある、ぐらいな感じになっていただくことが、日本を守ることでもありますし、また自分を美しくすることにもなります。
「やはり違う自分で、先ほど申し上げた表現をすることによって、本を読むと自分の気持ちが豊かになるのと同じで、自分と比べて、そういう考えもあるんだ、そういう人生もあるんだ、という感じです。」
是非一度体験してみてほしいです。
学園情報
千久沙日本舞踊学園
代表:正派西﨑新流師範 西﨑千久沙(にしざき ちぐさ)
ホームページ:https://c-nichibu-g.org/
稽古時間:朝10時〜夜8時
休日:年中無休(お正月のみ休み)
対象年齢:3歳〜80歳
特徴:気軽に始められる・独自のレベル制・希望者のみの発表会
※体験会も随時実施中。詳細はホームページをご確認ください。
取材・文:VOICE SENDAI編集部
公式サイト:http://voice-sendai.com/

コメント