仙台・宮城を中心に、東北の企業の「人」に関する課題に向き合う『社会保険労務士けやき事務所』。
代表の本間雄二さんは、税理士事務所での勤務経験を持ち、「お金」と「人」の両面から企業の存続と発展を見つめてきました。
屋号に込められた深い想い、そしてデジタル化が進む現代であえて「対面」を重視する理由とは。本間さんの根底にある、「謙虚さ」「優しさ」「聴く力」という3つの指針についてお話を伺いました。
――開業されて4年目となる現在の活動拠点や、これまでの経歴について教えていただけますか。
私は山形県の出身で、現在は仙台市を拠点に活動しています。現在44歳で、開業してからは4年目になります。顧問先のお客様は仙台の事業所様が中心ですが、私のルーツである山形や、東北一円に根差した活動をしていきたいと考えています。
この仕事に就く前は、10年以上税理士事務所に勤務していました。そこで企業の「税務・会計」に携わる中で、同じく企業の根幹に関わる「労務・人事」を扱う社会保険労務士という仕事を知り、資格を取得しました。
――「けやき事務所」というお名前、とても温かみがありますね。どのような由来があるのでしょうか。
ありがとうございます。「けやき」は、私が事務所を運営するうえで大切にしたい3つの行動指針の頭文字から取っているんです。
まず「け」は、「謙虚」の「け」です。これは税理士事務所時代からの学びなのですが、専門家だからといって先生業として上に立つのではなく、あくまでお客様と同じ目線で、黒子として並走する姿勢を忘れないという自戒を込めています。
次に「や」は、「優しさ」の「や」です。お客様と対等に話しやすい雰囲気を作ることですね。頭ごなしに否定したりせず、まずはお客様の想いや考えをしっかり受け止める。そういった優しさを大切にしたいと考えています。
最後の「き」は、「聴く」の「き」です。こちらから一方的に話すのではなく、相手の話にしっかりと耳を傾けること。「傾聴」の姿勢ですね。
この「謙虚に、優しく、話を聴く」という姿勢で、お客様と共に歩んでいきたいという想いを込めて『けやき事務所』と名付けました。
「お金」と「人」は車の両輪。会社を内側から支えたい
――税理士事務所でのご経験は、現在の社労士としての活動にどう活きているのでしょうか。
税理士事務所では、決算書や財務といった「お金」の管理の重要性を痛感しました。長く続いている企業は、やはりお金の管理がしっかりしています。一方で、どんなに営業力があっても、社内の管理体制、つまり「お金」や「人」の部分がずさんだと、会社は長続きしません。
実際に、内部管理がうまくいかず、廃業に至ってしまった企業様も見てきました。営業という「攻め」だけでなく、労務や財務という「守り」の部分もしっかりしていないと、会社という車は走り続けられません。車の両輪のように両方が大切なんです。
そういった経験があるからこそ、単なる手続き代行ではなく、会社を存続・発展させるための「管理体制づくり」の重要性を、実体験を持ってお伝えできるのが私の強みだと思っています。
――お客様に対して、どのような想いで接していらっしゃいますか。
私が大切にしているのは、顧問先で働くすべての方を守りたいという想いです。
従業員の方が「ここで働いてよかった」と誇りに思えるような会社になってほしい。そのためには、就業規則や給与計算といったルール作りが不可欠です。
近年は子育てをしながら働く方など、働き方も多様化しています。働く人のニーズと会社の制度をうまくすり合わせ、誰もが働きやすい環境を整えることで、少しでも会社の発展に貢献できればと考えています。
あえて「顔を合わせる」ことの意味
――お話を伺っていると、本間さんの「人柄」や「親しみやすさ」が伝わってきます。コミュニケーションにおいて意識されていることはありますか。
今はメールやチャット、Zoomなどで簡単に連絡が取れる時代ですが、私はできるだけ「直接会いに行く」ことを大切にしています。
顔を合わせないと分からない空気感や、メールなどの文字情報だけでは伝わらないニュアンスってありますよね。
それに、実際に現場に行くことで、そこで働いている皆さんの様子や職場の雰囲気を肌で感じることができます。「壁を作らない」ことを意識しているので、何でも気軽に相談してもらえる関係性を築きたいんです。
――最近、印象に残っているエピソードはありますか。
今年の春から関わらせていただいている訪問看護の事業所様があるのですが、最初は利用者様も少なかったところから、営業活動やスタッフさんの頑張りで、徐々に利用者様が増えていく過程を間近で見せていただきました。
先日、「これだけ利用者さんが増えましたよ」と、分厚くなった利用者様ファイルの棚を見せていただいたときは、本当に嬉しかったですね。皆さんが生き生きと働かれている姿を見て、この事業所の成長に少しでも関われていることに大きなやりがいを感じました。
東北で挑戦する人の「止まり木」でありたい
――最後に、今後の展望と、経営者の方々へメッセージをお願いします。
今後は、仙台・宮城だけでなく、故郷である山形など東北全体に活動の幅を広げていきたいですね。そして、私自身の事務所も成長させ、ゆくゆくは雇用を生み出したい。東北で育った若い人たちが、東京へ流出するのではなく、地元で働きたいと思えるような「受け皿」の一つになれればと思っています。
経営者の方、これから起業を考えている方にお伝えしたいのは、「一人で悩まないでください」ということです。
経営に関する悩みは尽きないと思いますが、誰かに話すだけで頭の中が整理されることもあります。私は「けやき」の名の通り、謙虚に、優しく、皆さんのお話を聴く準備ができています。
私一人で解決できないことがあっても、税理士さんや司法書士さんなど、信頼できる専門家をご紹介してチームでサポートすることも可能です。
皆さんの挑戦を全力で応援しますので、ぜひお気軽にお声がけください。
【取材後記】
「けやき」という言葉を分解し、一つひとつの意味を噛み締めるように語ってくれた本間さん。その穏やかな語り口からは、決して上から目線にならず、相談者の隣に座って一緒に悩み、歩んでくれるパートナーとしての誠実さが溢れていました。
孤独になりがちな経営者にとって、本間さんのような「聴く力」を持った専門家は、何より心強い存在になるはずです。
【プロフィール】
本間 雄二(ほんま ゆうじ)
社会保険労務士けやき事務所 代表
山形県出身、44歳。
税理士事務所にて10年以上、企業の税務・会計サポートに従事。その中で労務管理の重要性を痛感し、社会保険労務士の資格を取得。現在は仙台市を拠点に、財務と労務の両面から企業の成長をサポートしている。「謙虚・優しさ・聴く」をモットーに、東北の企業に寄り添う活動を展開中。
ホームページ
https://keyakijimusyo.com/

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